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映画の話[3]

吸血鬼モノ、大好物です。

 

あくまで個人的な話ですが、ティム・バートンの監督作品は後年「そういえばあれもティム・バートンだったのかー」って振り返ることが多い気がします。
僕が特に好きなのは、『バットマン』、『マーズ・アタック!』、『ビッグ・フィッシュ』あたり。アニメーション的な画作りが評価された監督って印象だけど、作風そのものは見事なまでに一貫してないよね(『ビッグ・フィッシュ』は思い出しただけで今でもざんざか泣けるぐらい好き)。

 

で、週末、そのティム・バートンの『ダーク・シャドウ』を観てきました。
作中通しての雰囲気、作風がコロコロ変わって、「思いついた順にやりたいことやりました」みたいなオモチャ箱感が凄かった。全体的にくすんだ色合いだけが共通してて、後はロックミュージカル的な作品からコメディ、ホラー、ファンタジーまで縦横無尽に駆け巡るあたりがティム・バートン。舞台となった70年代の混沌が作品全体のカラーになってた、とでも言えばいいのかなあ。
何より、2012年にもなって「箱(※テレビ)の中で小人が踊ってる!」とかいうタイムスリップあるあるをやっちゃうセンスがマジでヤバイ。ギャグはどれも定番な感じだったものの、それだけにどれも笑えたなー。
70年代ロックの名曲が随所に使われてるのも嬉しかったけど、主演ジョニー・デップ自らが参加した楽曲もちゃっかり使われてるのにはちょっと笑った。俳優兼アーティスト勢の中じゃ地味だけど、っていうかこれ観るまで知らなかったけど、彼もなかなか多彩な男だよね(何故か偉そう)。

 

期待してたクロエ・モレッツが思ったよりも目立ってなくて、というか『キック・アス』の頃の可愛らしいクロエちゃんは光陰矢のごとしで、実生活での見た目通り役柄も娼婦スレスレだったのがちょっと泣けたんですけど……、それを補ってありえないぐらい可愛かったのがヒロイン役のベラ・ヒースコート
まーーーったく名前を聞いたことがなかったんですが、まだまだキャリアの浅い子なんですね。
吸血鬼映画のヒロインに据えられるには充分すぎるゴシックさ、作中数少ないコメディリリーフとしての役割ゼロ、等など、彼女の存在が辛うじて作品に一本骨を通していると言っても過言では……過言かも。だって最後よく分かんなかったし! ご都合主義やん! 別にいいけどー!

 

あと開幕前に笑いそうだったのが、ヴァンパイア映画を観に行ってるのに同じティム・バートンのヴァンパイア映画の予告編が流れて、「昼は大統領、夜はハンター」とかいう売り文句が女神転生だったら合体事故でスライムしか生まれねーなコレってぐらいの雰囲気を放ってたとこ。これはソフト化されたらでいいや……。

 

ついでにこれに関連して、最近だと『9』が『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』を髣髴とさせる作品で素敵だったので大いにオススメです。ティム・バートンは製作のみの参加なんだけど、元になった短編映像に惚れ込んで長編化したそうな。さもありなん、不思議でファンタジックなアニメーション作品。こういう一筋縄ではいかない感じがティム・バートンらしさなのかな~。
と、好き放題語って満足したので、本日はここまで。